こんにちは!株式会社プロットハブのエンジニア小野です。
今回はWordPressの子テーマについて解説します。
WordPressを使ってウェブサイトをカスタマイズする際に、子テーマを利用することが多くあります。子テーマを使うと、親テーマの機能を活かしつつ、自分好みにカスタマイズできるため、非常に便利です。今回は、初心者向けに子テーマとは何か、作り方やメリット・デメリットを解説します。
弊社ではWordPressのカスタマイズや子テーマの作成など、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。お気軽にお問い合わせください。
WordPressの子テーマとは
子テーマとは
子テーマとは、親テーマ(メインテーマ)の機能やデザインを継承しつつ、カスタマイズを行うためのテーマです。親テーマを直接編集せずにカスタマイズできるため、親テーマのアップデートがあっても、変更が上書きされる心配がありません。子テーマを使えば、テーマのカスタマイズを効率的かつ安全に行うことができます。
子テーマを作るメリット
親テーマのアップデートに対応できる
親テーマがアップデートされると、通常、テーマファイルが上書きされるため、カスタマイズ内容が失われる可能性があります。
しかし、子テーマを使用すると、カスタマイズは子テーマ側に保存されているため、親テーマのアップデートによってカスタマイズ内容が消える心配がありません。たとえば、セキュリティ更新が頻繁に行われる親テーマを使用している場合でも、安心してカスタマイズを維持できます。
WordPressは脆弱性が見つかることが多いため、セキュリティ更新が頻繁に行われることがあります。そのため、子テーマを使用しておくと、セキュリティ更新を適用しやすくなります。
安全なカスタマイズが可能
親テーマを直接編集すると、誤って重要なコードを削除したり、サイト全体を壊してしまうリスクがあります。子テーマを使えば、親テーマのコードはそのまま残るので、万が一カスタマイズに失敗しても簡単に元に戻すことができます。特に、PHPやJavaScriptのカスタマイズを行う場合、子テーマを使うことで、リスクを最小限に抑えられます。
管理画面からfunctions.phpを編集することができますが、エラーが発生すると管理画面にアクセスできなくなるためローカルで修正しFTPなどでアップロードすることをおすすめします。
簡単にオリジナルのデザインを作成
子テーマを使うと、親テーマのスタイルをベースにしながら、CSSやテンプレートファイルを自由にカスタマイズできます。これにより、自分のブランドに合った独自のデザインを簡単に実現することができます。たとえば、特定のページだけレイアウトを変更したり、サイト全体の配色を変更するなど、柔軟なデザイン変更が可能です。
子テーマを使うデメリット
親テーマに依存する
子テーマは親テーマの機能に依存しているため、親テーマが大幅に変更された場合、子テーマが正常に機能しなくなる可能性があります。たとえば、親テーマの構造が大幅に変更された場合、子テーマで設定したカスタマイズが反映されなくなったり、サイトが正しく表示されなくなるリスクがあります。
特に有料のテーマを使用している場合、カスタマイズしすぎると、親テーマのアップデートに対応できなくなる可能性があります。そのため、カスタマイズを行う際は、親テーマの構造やコードを理解し、慎重に変更を加えることが重要です。
設定が複雑になることがある
子テーマを正しく設定するためには、親テーマの構造やコードを理解し、正しい方法で変更を加える必要があります。たとえば、特定のテンプレートファイルをオーバーライドする場合、親テーマのファイル構成を理解していないと、意図しない箇所が変更されることがあります。これにより、初心者には少し難しく感じることがあるでしょう。
メンテナンスが必要
親テーマがアップデートされた際に、子テーマとの互換性を確認し、必要に応じて子テーマも修正する必要があります。たとえば、親テーマが新しい機能を追加した場合、子テーマでも同様の機能をサポートするために変更を加える必要があるかもしれません。
WordPressの子テーマを使用するべきケースと避けるべきケース
使用した方が良いケース
大規模なカスタマイズを予定している場合
子テーマは、テーマのレイアウトや機能を大幅に変更する場合に非常に便利です。たとえば、サイト全体のデザインを大幅に変更したり、特定のページにカスタムテンプレートを追加したい場合、子テーマを使用することで、親テーマを変更せずに柔軟なカスタマイズが可能です。
長期的なサイト運営を考えている場合
長期にわたってサイトを運営する場合、子テーマを使用することで、親テーマの更新があってもカスタマイズ内容が保持され、安定した運営が可能になります。例えば、企業サイトやブログなど、継続的に更新が必要なサイトにおいて、子テーマを使っておくと将来的なメンテナンスが容易になります。
特定の機能を追加したい場合
親テーマに特定の機能が不足している場合、子テーマを使用して追加することができます。たとえば、親テーマにカスタム投稿タイプや特別なウィジェットがない場合、子テーマを使ってこれらの機能を追加することで、必要な機能を簡単に実現できます。
まずはプラグインで機能を追加できないか確認しましょう。プラグインで実現できる場合は、子テーマを使わずにプラグインを利用する方が手軽です。
使用を避けた方が良いケース
小さなデザイン変更だけを行いたい場合
子テーマを作成する手間を考えると、テーマカスタマイザーや追加CSS機能を使って小さな変更を行う方が効率的です。例えば、フォントサイズを変更したり、背景色を変更するだけであれば、子テーマを作成せずにカスタマイザーを使う方が手軽です。
親テーマが頻繁に更新される場合
親テーマが頻繁に更新されると、そのたびに子テーマの互換性を確認し、必要な修正を行う必要があります。たとえば、セキュリティ更新が頻繁に行われるテーマを使用している場合、子テーマを使用するとメンテナンスが煩雑になる可能性があります。
技術的な知識が不足している場合
子テーマを使用してカスタマイズを行うには、HTML、CSS、PHPの知識が必要です。技術的な知識が不足していると、子テーマの作成やメンテナンスが難しく感じるかもしれません。その場合は、プラグインやテーマカスタマイザーを利用したり制作会社に依頼した方が良いでしょう。
WordPressの子テーマを自作する方法
子テーマのフォルダを作成する
まず、子テーマのためのフォルダを作成します。WordPressのwp-content/themesディレクトリに移動し、親テーマの名前に-childを付けたフォルダを新しく作成します。例えば、親テーマがtwentytwentyfourであれば、twentytwentyfour-childという名前のフォルダを作ります。
style.cssの設定をする
次に、style.cssファイルを作成します。このファイルには、子テーマの基本的な情報と親テーマのスタイルをインポートするための記述を行います。twentytwentyfour-childフォルダ内にstyle.cssファイルを作成し、以下のように記述します。
/*
Theme Name: Twenty Twenty-Four Child
Theme URI: http://example.com/twenty-twenty-child/
Description: Twenty Twenty Child Theme
Author: Your Name
Author URI: http://example.com
Template: twentytwentyfour
Version: 1.0.0
*/
@import url("../twentytwentyfour/style.css");
/* 子テーマのカスタマイズはここに記述します */
@importで親テーマのstyle.cssを読み込むことができます。これで親テーマのスタイルを引き継いだ状態で、子テーマにカスタマイズを加えられます。
functions.phpの設定をする
次に、functions.phpファイルを作成します。twentytwentyfour-childフォルダ内にfunctions.phpファイルを作成し、以下のように記述します。
<?php
function twentytwentyfour_child_enqueue_styles() {
wp_enqueue_style('parent-style', get_template_directory_uri() . '/style.css');
}
add_action('wp_enqueue_scripts', 'twentytwentyfour_child_enqueue_styles');
?>
このコードは、親テーマのstyle.cssを読み込むための処理です。これにより、親テーマのスタイルを子テーマでも適用できます。
子テーマのアップロード
子テーマを作成したら、WordPressのテーマディレクトリにアップロードします。FTPクライアントを使用して、作成したtwentytwentyfour-childフォルダをwp-content/themesディレクトリにアップロードします。
子テーマを有効化する
最後に、WordPressの管理画面から子テーマを有効化します。管理画面の「外観」→「テーマ」から、作成した子テーマを選択し、「有効化」をクリックします。これで、子テーマが有効になり、カスタマイズしたスタイルや機能が反映されます。
子テーマを活用する上での注意点
親テーマの大幅アップデートには対応できない
子テーマは親テーマに依存しているため、親テーマが大幅にアップデートされると、子テーマが正常に機能しなくなる可能性があります。親テーマのアップデート前には、必ず子テーマの互換性を確認し、必要に応じて修正を行うことが大切です。特に、テンプレート構造が変更された場合は、子テーマのテンプレートファイルも修正が必要です。
セキュリティリスクについて
子テーマを作成する際に、不適切なコードを追加すると、セキュリティリスクが高まる可能性があります。例えば、セキュリティ対策が十分でないPHPコードを追加すると、外部からの攻撃を受けやすくなります。WordPressのコーディング標準に従い、安全なコードを書き、不要なファイルやコードを追加しないように注意しましょう。
表示速度の低下がないか
子テーマを使用することで、テーマの読み込みが遅くなる場合があります。特に、@importを使って親テーマのスタイルを読み込む方法は、ページの読み込み速度に影響を与えることがあります。定期的にサイトのパフォーマンスをチェックし、必要に応じて最適化を行うことが重要です。例えば、不要なプラグインを削除したり、画像を圧縮して表示速度を改善することが有効です。
有効化忘れ
子テーマを作成しても、WordPressの管理画面から有効化しないと反映されません。子テーマを作成したら、必ず有効化を忘れずに行いましょう。また、子テーマが正しく設定されているかを確認し、適用されたカスタマイズが正しく反映されているかを確認することも重要です。特に、複数のテーマを試している場合は、どのテーマが有効化されているかを確認しておきましょう。
まとめ
これで、WordPressの子テーマの基本的な作成方法と注意点についての解説が終わりました。子テーマを活用することで、安心してサイトをカスタマイズし、オリジナルのデザインを楽しむことができます。初心者でも簡単に始められるので、ぜひ挑戦してみてください。
弊社では、WordPressのカスタマイズや子テーマの作成など、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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